ふみゆき
ちらつき始めた雪が音も無く積もってゆく傍ら、昨日までの落ち葉の道、透明な水の流れる川。覆い隠すように全てを冷たく抱いてしまう雪。「
春に一緒に溶けるほど永くはないから、今抱かれて消えてしまうね。
」雪を
踏
んであなたへ逢いに行く事はできないけれど、真白な紙にあなたの
幸
を願って、いま雪の
文
あなたに送ります。
今
夜
真
白
く
降
る
雪
は
わ
た
し
か
ら
あ
な
た
へ
送
る
最
期
の
手
紙
真白な背景を桃色の花が彩る傍ら、溶け始めた庭に降るのは少し遅い雪の便り。「
あんなにもキミが好きだと言っていた春が今年もやってきたよ。
」間に合わなかった言葉は今も心にしまってあります。二度と届かない言葉の代わりに季節に
遅
れた雪を、遠い遥か彼方までと願って、今年最後の雪はキミに
送
る雪。
遠
く
へ
い
っ
て
し
ま
う
キ
ミ
に
送
る
の
は
春
の
雪
おくりゆき